登壇者紹介
稲富龍太郎
株式会社サイバーエージェント|プラットフォームビジネス本部局長
AbemaTVの編成責任者として、ワールドカップやTHE MATCHなど巨大プロジェクトを指揮。「21世紀を代表する会社をつくる」というミッションのもと、コンテンツ戦略・アライアンス事業を統括。

星野崇史
株式会社Maenomery|代表取締役社長

はじめに
AIがあらゆる仕事を効率化し、「始める」ことのハードルが急速に下がっていく時代。
だからこそ、企業が本気で求めはじめている力があります。
それが「やり抜く力=GRIT」です。
このGRITをテーマに、熱量ある学生と、それを求める企業をつなぐ対面型マッチングイベント「GRIT就活」。今回ご登壇いただいたのは、株式会社サイバーエージェントでAbemaTVの編成責任者を務める稲富龍太郎氏。ワールドカップやTHE MATCHなど、数々の大型プロジェクトで「熱狂」を生み出してきた人物です。
10年仕込み続けた熱狂の正体、
学生の心を動かした言葉、
そして採用の未来──
株式会社Maenomery代表・星野が、稲富氏に話をお伺いしました。
1.AI時代に問われるのは、「やり始める力」と「やり切る力」
星野: 稲富さん、本日はよろしくお願いします。早速ですが、今回のGRIT就活イベントに参加されていかがでしたか?
稲富氏: よろしくお願いします。我々は実は、こういう説明会的なものに多く出るタイプではないんです。ただ実際に行ってみて、「GRIT(やり抜く力)」というテーマがあるからか、意志が強そうな方が多い印象でした。熱量も含めて、すごく感じるものがありましたね。
星野: ありがとうございます。まさに我々が届けたい空気を感じていただけて嬉しいです。本日は「GRIT」というテーマで伺っていきたいのですが、稲富さんご自身は、このキーワードをどう捉えていらっしゃいますか?
稲富氏: AIをはじめ、いろんなツールが揃ってきて、「やる」ことの難易度がどんどん下がっていると感じます。
そんな時代だからこそ大事なことが2つあって。一つは「やり始めること」。起業でも、就活で進路を決めるときも、この始動の部分はやはり大事なんです。
もう一つは「やり切ること」。集めた情報をもとに決断し、最後に成果へ結びつける。ここはおそらく、いまのAIには代替できない部分です。だからこそAIの時代に、やり始めてやり切るというGRITが大事になるのかなと。
星野: 「始める」と「やり切る」、この2つだけが残る、と。これは我々が学生さんを見ていて感じることでもあります。スキルや知識はあとから身につけられますが、「最後までやり切れるかどうか」はその人の中にあるものですよね。
稲富氏: まさにそうなんです。AIで誰でもスタートが切れる時代になればなるほど、最後まで走り切れる人の希少価値は上がっていくと思います。

2.10年かけて仕込んだ、Abemaの熱狂
星野: 稲富さんといえば、AbemaTVの編成責任者として、ワールドカップやTHE MATCHなど、まさに「熱狂」を生み出されてきた印象があります。きらびやかに見える一方で、その裏には相当な逆境もあったんじゃないかなと。
稲富氏: 全然ありますよ(笑)。寸前で企画がお蔵入りになることも、当たり前のように起こっていました。
いま会長になりました藤田が、Abemaを10年かけて大きくしていくことを大きなテーマとして掲げていたんですね。
テレビの歴史が60年ある中で、我々はまだ始めて数年。
「新しい未来のテレビを作るには、腰を据えてやらなければいけない」というビジョンがあったので、手を変え品を変え、覚悟を持って模索していた時期でした。
星野: 10年という長いスパンで覚悟を決めていたからこそ、目先の逆境に飲まれなかったんですね。具体的にはどんな仕込みを?
稲富氏: 2018〜19年頃、「我々がやるべきことは何なのか」と原点に立ち返る動きがあったんです。サイバーエージェント全体のパーパスとして「インターネットで日本の閉塞感を打破する」というキーワードがあるんですけど、「Abemaはその象徴でなければならない」と。
星野: 会社全体のミッションを、Abemaとしてどう体現するかを改めて言語化していったわけですね。
稲富氏: そこからAbemaのキーコンセプトとして5つのキーワードを定めたんですが、特に大事にしていたのが「同時性」でした。
星野: 同時性、ですか。

稲富氏: これはオンデマンドの世界では生まれないものなんです。
テレビがかつて持っていた、みんなで同じ瞬間に熱狂して、同じ話題で盛り上がる感覚。
そこから流行やムーブメントが生まれる。
無料のポテンシャルを持っているAbemaだからこそできることだと思いました。
星野: その「同時性」を、どう熱狂につなげていったんですか?
稲富氏: 規模が小さかった当時の恋愛リアリティーショーでも、熱狂は少なからず生まれていたんですよ。この熱狂は我々が作れるものなんだと信じて、いかに大きくするか、コンテンツがバズったときに倍々に増やしていくにはどうするか、ずっと考え続けていました。
それが2022年に良いコンテンツが入ってきたタイミングで、それまで作ってきた仕組みが倍々ゲームになって広がっていった感覚です。
星野: 信念を持って10年仕込み続けたからこそ、爆発する瞬間に立ち会えたわけですね。まさに「やり続ける」ことの強さです。
稲富氏: そうですね。いま振り返っても、信念を持ってやり続けることは大事だったなと思いす。

3.学生に届けた言葉「選んだ後に、正解にする」
星野: GRIT就活には約300名の学生が来てくれて、そのうち稲富さんのトークセッションには60〜70名が参加してくれました。実際に登壇されてみて、学生さんに対してどんなことを意識されましたか?
稲富氏: GRIT就活に来てくださる方は、我々がよく言うんですけど、「鼻息の荒い人材」が多いんですよね。威勢も含めて、自分の成長への意欲がすごく強い人が多かったなと。
一方で、その活力をどこにぶつければ自分の人生が一番明るくなるのか。
どう身を乗り出せば新しい可能性が引き出されるのか。
やはりそこを悩む時期でもあるんです。
私自身、就活のときはそうでしたから、よくわかるんですよ。
星野: その悩みは、どの世代の学生さんも抱えているものですよね。我々もそこに伴走している立場なので、すごく共感します。稲富さんは学生さんに、どんな言葉を届けたんですか?
稲富氏: 結局、これって正解はないんです。
選んだ瞬間に正解があるんじゃなくて、選んだ後に、自分の選んだものを正解にしていく。
人生のすべての決断ってそういうものなのかなと。
だから、選ぶことに一生懸命になるよりも、「選んだ後に自分のキャリアがこんな風になったら面白いかも」って思えるような話をしたかったんですよね。
私はいま10年目なんですけど、「10年後にこんなところでこんな話ができたら格好いいだろうな」と思えるかどうか。そういうことを意識してセッションには臨みました。
星野: 「選んだ後に正解にする」。まさに、稲富さんがAbemaで10年やられてきたことそのものですね。学生さんの心にも深く刺さったんじゃないでしょうか。
稲富氏: どうですかね(笑)。ただ嬉しかったのは、セッションが終わって私が席を外して帰るタイミングで、「すいません、先程聞いていた者なんですけど」と質問を投げてくれた学生が2〜3名いたことです。「この話のここに共感して、いま自分はこういう状況なんですけど、どんなアドバイスをもらえますか?」と。スポンジのように成長していくってこういうことなんだな、と思いながら見ていました。
星野: それは本当に嬉しい瞬間ですね。
我々も運営側として当日見ていたんですが、ブースに駆け込んでくる学生さんの目の輝きが印象的で。「こういう場をつくれてよかった」と心から思える光景でした。
4.採用で見るのは「素直でいいやつ」
星野: 稲富さんは、ふだん採用の場面で、どんな学生さんを「いい」と感じるんですか?
稲富氏: サイバーエージェントの採用方針でもあって、私もすごく大事にしているのが「素直でいいやつ」という言葉なんです。
ここで言う「素直」は、何でも言うことを聞くやつ、ということではないんですよ。
世の中の情勢も、自分自身のこともフラットに判断できて、「いまの自分や次の自分に必要なことは何か」を求めたときに、これまでとは違うことをしなければいけない場面でも対応できる。
自分の考え方すら変えられる柔軟性を持っている、ということですね。
そして「いいやつ」の部分でいうと、「自分の軸はこれだ」というものはちゃんと持っている。
いろんなことをやっていくときにブレずに、ただ適切に自分を対応させながら進められる人材は、すごく強いんです。だから就活では、そういう経験を中心に聞いていくことが多いですね。
星野: シンプルだけど、本質を突いた言葉ですね。我々も学生さんと向き合うときに同じ感覚を持っています。スキルじゃなくて、人としての芯。それがあるかどうかをどう引き出すかが、我々の仕事でもあるなと。
5.なぜGRITは連鎖するのか
稲富氏: 逆に、ちょっと私から質問してもいいですか?イベントに参加してすごく思ったんですが、あれだけGRIT、まさに何かをやり抜く力を持った人材たちが集まっていて。私は皆さん初見でしたけど、本当に力のある人たちだなと感じたんです。あれって、どうやって見極めたり、集めていらっしゃるんですか?
星野: ありがとうございます、ぜひお話しさせてください。前提として、Maenomeryは立ち上げ当初、「GRIT」というキーワードよりも「体育会学生」に着目して就活支援を始めた会社なんです。
稲富氏: そうだったんですね。
星野: ただ、続けていくうちに気づいたことがあって。体育会出身だからといって、必ずしも全員がGRITを持っているわけではなかったんです。スポーツが終わった後にGRITを引き出せずに終わってしまう学生もいて、そこに課題感がありました。
逆に、スポーツ以外の経験でGRITをしっかり兼ね備えている方もたくさんいる。弊社にもいま約60名のスタッフがいますが、体育会出身じゃないスタッフも多くいて、何か一つのことをやり続けてきた経験を持つ人材が揃っています。
そこで我々は、体育会系という枠ではなく、「GRIT=やり抜く力」を見極めてお客さまに紹介していく、というテーマに進化させたんです。
稲富氏: 体育会という入り口から、より本質的なGRITというテーマに変えたわけですね。
星野: それを支えているのが、弊社の3つのバディ体制なんです。
1つ目が「RB(リクルーティングバディ)」
企業様の採用担当者として伴走するメンバーです。
2つ目が「GB(GRITバディ)」
大学のキャリアセンターや学生コミュニティ、部活動などに出向いてセミナーを行い、就活のきっかけを提供する役割を担っています。
3つ目が「CB(キャリアバディ)」
興味を持ってくれた学生に対して、キャリアの伴走者として並走するメンバーです。
くどいくらいに「バディ」を使うんですけど(笑)。
稲富氏: 徹底してますね(笑)。
星野: これにはちゃんと理由があって、GRITという「やり抜く力」を引き出すには伴走が不可欠だと思っているんです。一方的な指導(アドバイザー)じゃなくて、一緒に走る存在。それが「バディ」という名前の由縁なんですよ。

稲富氏: これ、すごくわかります。イベントに参加してみて、一つ仮説を持っていたんですよ。「GRITしている人の周りには、GRIT人材が多いんじゃないか」って。
担当いただいたRBの皆さんしかまだ見えていないですけど、その本人自体がGRIT人材なんですよね。
おそらく、CBやGBの皆さん本人がGRITを体現していて、その人が学生の採用に伴走していく。学生と関わる中で「ここまでGRITしてくれるなら、自分もやろう」って連鎖していくものがあるんじゃないかなと感じました。
星野: まさにその通りなんです。我々のスタッフ自身がGRITを体現していないと、学生さんの心は動かせない。だから社員もGRITを兼ね備えた人材を採用していますし、お客さまへの伴走でもその姿勢が出ているんだと思います。稲富さんからそう言っていただけると、我々の組織が目指してきた方向性が間違っていなかったんだなと、改めて思えますね。
稲富氏: いやもう、本当に素晴らしい取り組みだなと感じました。

6.GRITは、スポーツの枠を超えていく
星野: 今回のGRIT就活に参加されて、稲富さんから見たイベントの伸びしろも、ぜひ伺いたいです。
稲富氏: お見受けすると、6〜7割の方々がスポーツ中心の学生でしたね。特に私に質問してきてくれた方々は、スポーツをやっている方が多くて。
ただ、GRITって言葉は、スポーツだけじゃないと思うんですよ。芸術とか、それこそお笑いとか、そういったものにも通用する言葉だなと。むしろそういう人たちのほうが、自分で捉えながら新しいことをやっている部分は結構あるんじゃないかと。
星野: たしかに、それはすごく感じます。
たしか、令和ロマンの髙比良くるまさんがご友人なんですよね?
稲富氏: そうなんです。(笑)彼って、中学の頃からずっとお笑いに集中していて。お笑い芸人さんというより、やっぱり「面白い人材」なんですよね。
それが突き抜けると、ああいう風にM-1も含めて取っちゃう。
これって一つの「やり切り」の形になっているので、こういう人生もあるんだなと感じたんです。いまは僕らの頃よりも、こういう生き方が肯定される時代なのかなと思いますね。
昔ユーチューバーがよく言っていた「好きを仕事にする」が、まさにそういう時代に来ているのかなと。
星野: それは本当にそうですね。Maenomeryでも、体育会系のみならず、芸術やお笑い、何かをやり続けてきた経験のある学生さんに、もっと出会っていきたいと思っています。

7.どんな企業に、この場を届けたいか
星野: 最後に、どのような課題感を持つ企業様に、このGRIT就活イベントをお勧めできそうですか?
稲富氏: いわゆるプル型の採用、つまり応募が来てから選んでいくやり方は、結構難易度が高いと思っているんです。
自分たちの会社に合わない方々もターゲットに入ってしまう広げ方になりがちで。
GRITは、どの企業、どの時代においてもすごく大事なものなので、そういう人材がクリティカルに欲しい企業様にとっては、まずすごく魅力的なイベントだと思います。
もう一つは、新規事業を始める企業や、もっと大きくチャレンジしていこうというフェーズの企業ですね。専門性で取っていくのも一つですが、そういう局面ではまさにGRITが大事になってくる。スキル優先よりも、スタンス・マインド優先に切り替わる時期だと思うんです。そういう企業の皆様には、本当にうってつけだと思います。
星野: スキルじゃなくてスタンス、というのは本当にそのとおりで。我々もそこを軸に企業様と学生さんをつないでいきたいと思っています。最後に、本気で採用に向き合う企業様へメッセージをいただけますか。
稲富氏: 求められる人材要件が、本当に幅広い時代になってきたと思っています。スキル一つとっても、昔は「パソコンができる」だけでちょっとした能力だったところから、AIを使いこなす能力、共に働く力みたいなものが基礎になってきていて。要件がすごく幅広くなっていますよね。
それでも変わらない軸が、いま我々がテーマにしているGRITなんです。
これは変わらないテーマであって、GRITがあるということが、スキルを育成していくための必要条件になっていくのかなと思っています。
星野: ありがとうございます。28年卒のGRIT就活イベントは、さらに規模を拡大して、133社・2,000名の学生を呼んで開催します。今回お話を伺って、GRITというテーマがいかに今の時代に必要かを改めて感じました。スポーツに限らず、何かを「やり抜いた経験のある」すべての学生さんと、本気で向き合う企業様をつなぐ場として、進化させていきたいと思います。本日はありがとうございました。
稲富氏: こちらこそ、ありがとうございました。
会社情報
社名:Forcepromote株式会社(フォースプロモート)
URL: http://force-promote.co.jp/
設立:2019年12月
所在地:東京都新宿区西新宿3-3-13 西新宿水間ビル2F
代表者:髙橋 正揮
事業内容:ITソリューション事業/OA事業/ソフトウェア事業/エネルギー事業/アライアンス事業。通信環境のコンサルティングから、ネットワーク改善・インフラ設備の構築、運用・保守までを一貫して手がけ、オフィス環境の最適化・コスト削減・業務効率化を支援する。
インタビュイー
佐藤 拓|執行役員
上之山 美雪|管理部 人事課
後藤 建斗|営業部 課長(Maenomery経由)
入社2年で課長、全社一の知識量へ。GRIT人材の活躍が組織にもたらしたもの
OA機器から、クラウド・セキュリティへと事業領域を広げるForcepromote株式会社。事業の成長に採用を追いつかせるべく人事制度を一から立ち上げるフェーズで、「募集がなかなか集まらない」「求める人物像に合う人材と出会えない」という、母集団形成の壁に直面していました。
そんな同社で、いまや全社一の知識量を誇り、後輩育成まで牽引しているのが、Maenomery経由で入社した一人の中途GRIT人材、後藤様です。同社はいかにして一人の確かな活躍を、組織全体の力に変えていくのでしょうか。
人事を担う上之山氏と、執行役員の佐藤氏に、人事立ち上げフェーズにおける課題感と事業拡大に向けた組織づくりを伺いました。

1.組織課題
マンパワー組織から、圧倒的な成長機会をつくる組織へ
――独立後、組織づくりではどのような課題と向き合ってきましたか。
佐藤氏:独立してしばらくは、無理に採用を急がず「今いるメンバーで成果を出す」方針でした。ただ、メンバーが一定数そろってくると、新しいポストが空きません。昇格や昇給を望む人がいても、組織が広がらなければ機会をつくれないんです。せっかくベンチャーの営業に飛び込んでくれた以上、圧倒的な成長をしてほしいと思っております。だからこそ2025年に入り、組織を大きくし、支店も増やしていく方針へと舵を切りました。
――組織が大きくなるなかで、新たに見えてきたテーマはありますか。
佐藤氏:規模が大きくなり世代交代が進むなかで、素直で良いメンバーが増えた一方、月の予算に最後までこだわり抜く「やり切ることへの執着」を、次の世代へどう受け継いでいくかが大きなテーマになっています。
これは採用だけで解決する話ではなく、今いるメンバーをそうした人材に育てきれていない、経営側の責任でもあると思っています。安心して楽しく働ける環境でありながら、成果へのこだわりは持ち続ける——その両立にこそ、私たちは本気で向き合っています。

2.採用課題
人事部の立ち上げフェーズで母集団に苦しむ
――Maenomeryを活用される前、採用にはどのような課題がありましたか。
上之山氏:そもそも応募が集まらず、集まっても最終選考の手前で辞退されてしまう。「欲しいタイミングで、欲しい人材に出会えない」というのが一番の課題でした。
独立したばかりということもあり、人事制度自体が整っておらず、採用の仕組みを一から作らなければならない状態でした。私自身ももともと営業職で、人事は未経験です。きちんと機能させられるのか、という不安もありました。
――その背景を、どう分析されましたか。
上之山氏:振り返ると、求職者との接点が少なかったと思います。少ないエージェントに頼り切りで、媒体も「とりあえずやってみる」という状態でした。
ペルソナも固まっておらず、「営業をやりたいガッツのある子なら来てほしい」という、営業会社にありがちな曖昧さがあったように思います。まずは窓口を広げて募集をかけること、そして「どんな人材が欲しいのか」を見極めて言語化していくことの両方に着手する必要がありました。

3.Maenomeryを選んだ理由
前任からの引き継ぎから、やり抜く力を共有できるパートナーへ
――Maenomeryの活用は、どのように始まったのでしょうか。
上之山氏:もともとは前任からの引き継ぎでお付き合いが始まったので、現在一緒に動いている中で継続してお願いしたいと感じています。特に、RB(リクルーティングバディ)の荒蒔さんは求職者と私たちの連携に、ロスをつくらせないスピードで丁寧なレスポンスをしてくれるため、本当に助かっています。
加えて、「GRIT(やり抜く力)」という考え方への共感も大きかったです。営業に限らずどんな仕事にも必要な力ですし、簡単に諦めず最後までやり抜けるかどうかは、これからの採用でますます重要になります。その視点を共有できるエージェントである点は、私たちにとって心強いです。
GRITとは?:https://www.maenomery.jp/article/29

4.導入後の成果
入社2年で課長へ、そして会社一の知識量へ
――Maenomeryの後藤さんは、入社後どのように活躍されてきたのでしょうか。
佐藤氏:後藤は2019年に中途で入社し、2021年に課長へ昇進しました。商材知識において全従業員のなかでも圧倒的で、後輩メンバーの育成にも力を注いでくれています。OA業界には「機器を安くする」「環境を見直す」といった提案で終わる営業も多いのですが、後藤はお客様の環境や使い方を見たうえで、それに合った提案を組み立てられます。同業他社やメーカーと比べても確かな知識があるからこそ、金額が上がる提案でも、環境を良くする提案でも、お客様を第一に考えている人材だと思います。
上之山氏:知識量が誰よりもあると思います。クラウドもセキュリティも、元々メイン事業でありましたOA機器の話も、聞けば必ず答えてくれます。新人研修の資料を一から作り直したときも、全部目を通して「ここはこうした方がいい」と改善案を指導してくれました。すごく頼れる上司です。

Maenomery経由:後藤さん
5.GRITへの共感
やり切ることへの執着が必要な時代
――フォースプロモートが大切にしている価値観と、GRIT(やり抜く力)には重なる部分があるように感じます。
上之山氏:そうですね、重なっていると思います。GRITという言葉自体は、Maenomeryを通じて初めて知りました。
AIの発達で業務の効率化が進み、答えもすぐに得られる時代になりました。その分、自分の頭で考え抜く機会は、以前より減っていると感じます。だからこそ、簡単に諦めずに挑戦し続ける力や、最後までやり抜く力を持っていることは、今後さらに大きな強みになると思います。
佐藤氏:私が大事にしているのは、自分の目標に対してどこまで貪欲にやり切れるかです。営業をやっている以上、月の予算達成には絶対にこだわるべきだと思っています。最終週であっても、どんな形であれ達成させるために、どんなアプローチが必要かを考え抜きます。それを「やり切ることへの執着」と呼ぶなら、まさにそこを大切にしています。

6.今後の展望
「採るフェーズ」から「育てるフェーズ」へ
――今後、組織として目指していきたい方向性を教えてください。
上之山氏:昨年までは人を増やす採用に力を入れてきましたが、これからは今いるメンバーを育てる“育成”も両軸で注力していくべきだと考えています。研修制度を見直し、配属後のサポートや、営業・人事・バックオフィスの連携をさらに強くしていきます。
新卒採用については、26卒が初めての挑戦でした。開始時期が遅かったにもかかわらずMaenomeryさん経由の学生から内定承諾をいただくことができ、推薦数もほかのエージェント様と比べて4〜5倍と、大きな割合を占めています。この流れを、27卒以降の採用と育成にしっかりつなげていきたいです。
佐藤氏:私は管理や仕組みづくりを担う立場なので、直接何かをするというより、制度や組織文化を整えることで「やるべき時はやり切る」雰囲気をもう一度つくり直したい。 そして後藤が体現しているように、お客様を守るセキュリティ提案を、個人ではなく営業全体の力にしていきたい。縁あって入社してくれたメンバーが、楽しみながら成果にこだわれる組織にしていきます。
障害者雇用支援を専門性×テクノロジーで解決する株式会社D&I様は、2025年2月13日に華々しく上場を果たしました。
障害者雇用という新しい市場をどのように創造したのか。そこには明確な理念ドリブンによる文化構築と採用戦略がありました。
市場なき世界に挑んだからこその苦悩とリアルな成長過程を本記事を通してお伝えできればと思います。

インタビュー対象者 プロフィール
小林鉄郎(Kobayashi Tetsuro)
代表取締役
1985年生まれ。石川県金沢市出身
2007年新卒で株式会社ジェイブレインへ入社。新規事業として障害者雇用支援事業立ち上げに携わる。2009年代表杉本とともに株式会社D&I創業、取締役就任。全事業を統括。2021年6月、代表取締役に就任。
1. 課題
興味はあるが、導入はされない。法改正を待たず、自らの足で啓蒙し続けた「市場創造」の苦悩とリアル
――創業当時どのような思いで事業を始められたのでしょうか?――
当時は制度や法整備はあったものの、実際の現場で障害のある方が活躍できる環境は、まだまだ足りませんでした。そのため多くの企業が法定雇用率を政府が課した義務として、障害者を雇用していました。そこに違和感をもっていたこともあり私たちは「義務として雇用の場をつくる」のではなく、「戦力として活躍できる環境を創りたい」という想いからスタートしました。
――スタート当時の市場の反応はいかがでしたか?――
当時は市場そのものがない状態でした。参考にできる事例も殆どない中での挑戦でもあり、不安もありました。ただ、「障害者雇用を義務から戦力にしたい」という信念が創業者の杉本(故人)含めて強くあったので、未知の領域にも足を踏み入れることができました。
――市場創造における具体的な難しさは何でしたか?――
事例がないからこそ、長い時間をかけて啓蒙や説明をする時間が必要でした。興味を引くという意味では、目新しさがあったので話を聞いてくれるということはありました。しかしながら、いざサービスの導入となると一気に足が重くなる印象が残っています。法の制度として障害者雇用は必要である、しかしながらサービスは導入しない。このジレンマにとても悩まされました。
――興味はあるけど、導入してくれない。このジレンマをどのように乗り越えたのでしょうか?――
結局のところは何度もクライアント先に足を運んで、重要性と社会的な意義を伝え続ける。これが何より大きな要因だったと思います。もちろん法定雇用率の改正など社会としての後押しもありました。しかし、市場創造において本質的に重要なのは、外部環境への期待ではなく、自分たちがコントロールできることへリソースをつぎ込むことです。だからこそ困難は当然のこととして受け止めていましたし、直ぐに上手くいくとも思っていませんでした。
未来を描くことと、希望的観測を混同しないことが重要だと思います。

2. きっかけ
レールの上を走るな、レールを敷け。変化の激しい市場創造フェーズで、スキル以上に求めた“GRIT”の定義
――市場創造に挑む中で、どのような人材を求めていたのでしょうか?――
一番は「困難や変化の激しい環境でも自ら考えてやり抜ける人」まさにGRIT人材です。スキルや経験の有無よりも、困難を乗り越える粘り強さや、最後までやり抜く力を重視しています。なぜなら弊社が挑んでいるのは不確実性が高く、変化の激しい市場創造だからです。
とくに障害者雇用における法改正やルールは定期的にアップデートされます。
そのため変化を前提として事業に取り組む姿勢が必要となります。だからこそ、決まったレールを走るのではなく、自らレールを敷いて進んでいくことが必要となります。そのため単に仕事をこなすだけではなく、事業全体を前進させる人材を常に採用することを心がけました。
また、上記の特性に加え、個ではなくチームでどのように成果を上げるかに没頭できる人材も重要です。弊社では、障害のある方々の入社からオンボーディング、そして戦力化までの支援を一気通貫で行っています。各チームがバリューを発揮しているからこそ、D&Iを利用する価値が最大化されています。最大の価値提供は、圧倒的な個人ではなくチームワークによって創出されるものと考えております。そのためにも、会社が目指す目的や理念に共感し社会性を持って取り組める人材が重要となります。
3.成果
サッカー上位リーグとMVPの両立。残業せずに成果を出す、GRIT人材ならではの“高密度な働き方”
――実際に入社したGRIT人材の事例があれば教えてください。――
22卒で入社の大滝が、現在活躍してくれています。
彼はとにかく当時から「素直に物事を受け取れる人材」でした。業務などのフィードバックに対しても、気持ちよく受け取ってくれる。「打って響く」というのはまさに彼のことなのかなと。そして、指摘に対しては、自らの成長の糧に変えていました。とくに改善すべき箇所や伸びしろをそのまま放置するのではなく、修正できるまで徹底するという「やり抜く姿勢」がとても印象的です。そのため、顧客に対しても細かい部分まで丁寧にフォローし、相手が納得するまで伴走していくスタイルが結果に繋がっているように感じます。
また教えられ上手ということは、先輩からも可愛がられる存在です。その特性もあり、顧客の懐に大胆に踏み込み距離を近づけることができるのも彼の特徴です。
22卒 大滝さん
――「打って響く」とても重要ですよね。最近はどのような活躍をされていますか?――
最近では、事業成長を牽引してもらうためポジション変更しました。しかし、その環境変化も難なくこなし、短期間で成果を上げてくれました。さらに凄いのがサッカーの上位リーグで活躍しながら、残業をほとんどせずにMVPを獲得するなど、働き方の面でも新しいロールモデルを体現しています。
―他の社員も採用されていますが、GRIT力がある人材に共通して言えることはありますか――
経営層や上司が考えていることに対しての感度が非常に高いところです。具体的に言うと、新しいサービスを始めたり、方針が提示された際にただそれを受け取るのではなく、当事者として自分事にできる。尚且つ、自身の考えを持って方針を実行し、やり抜く。ここが共通している点ですね。
前途でも述べましたが、弊社は障害者雇用を一気通貫で支援し、テクノロジーを駆使して戦力化まで実現することを強みとしています。そのためサービス範囲が広いだけでなく、新たなサービスを生み出し続ける必要があります。そのようなスピードや変化が激しい状況の中においても、圧倒的な当事者として業務に励んでいる姿勢が見受けられます。

4.活用ポイント
「24時間365日は一緒にいられない」。だからこそ“働く幸せ”を約束する、D&I流の誠実な組織設計
―― 市場創造のための組織作りにおいて具体的には、どのような体制や工夫をされているのでしょうか?――
会社が目指すべき姿(理念、スピリット)と、会社が提供すること(プロミス)を明文化することです。
会社が大切にしているのは、社員に対して一方的に成果を求めることではなく、理念や約束を「双方向」から考慮し提示する姿勢です。
――具体的にはどのようなことなのでしょうか?――
まず、D&IのMissionやVisionはもちろんある中、社員に求める考え方や行動の軸として「スピリット」を構築しました。これは、組織が成長していく過程で「D&Iらしさとは何か」を問い直し、単なるスローガンではなく実際に行動につながるように設計されたものです。さらに「義務から戦力へ、人生の選択肢を」というバリューを掲げました。これは個々人が仕事を通じてどのような価値を提供しているのかを明確にし、主体性を発揮し、長期的に成長していけるような方向性を示しました。
その後、私が代表に就任したタイミングで、“働くを通して、幸せを”という「D&I Promise」を策定しました。これは私の想いでもあるのですが、やはり会社が社員に求めるだけではなく、会社としても社員に対してどのような約束を果たすのかを示したいと思ったからです。
――「D&I Promise」への想いを教えてください。――
まず前提として、社員全員と24時間365日を共にすることは、実質不可能であると考えています。どうしても一緒にいる時間は限られます。そのため社員一人ひとりの人生全体を保証することはできません。しかし、だからこそ働いている時間は仕事を通じて幸せを感じてもらえるようにしたいと思っています。そのため「D&I Promise」には会社として全力でコミットする、という意思が込められています。この約束をつくる過程では、「意志」「挑戦」「成長」といったキーワードが重視され、経営陣と人事部門が時間をかけて議論し、磨き上げてきました。
つまり、社員に対しては「スピリット」で“どうあってほしいか”を示し、会社としては「Promise」で“どう支えるか”を明確にしたのです。目指すべき姿と約束の両輪を明文化することによって、単なる上下関係ではなく、社員と会社が対等に信頼関係を築きながら進んでいく文化が形づくられています。

5. 今後の展望
専門性×テクノロジーで、社会課題をシンプルに解決する。障害者雇用の“インフラ”を目指す次なる挑戦
――今後の事業展望を教えてください。――
海外と比較しても、この領域は依然として市場創造の途上にあり、未だ成熟には至っていません。今後、日本における障害者雇用の法定雇用率はさらに上昇する見込みであり、企業が直面する課題はますます複雑かつ多様化していくと考えられます。しかしながら、障害者雇用に関するノウハウや実績は十分に整備されているとは言えず、社会全体において大きな課題が残されています。こうした状況下において、当社はこれまで培ってきた経験や知見を基盤に、AIやクラウドをはじめとした先端テクノロジーを駆使しながら新たな解決策を提供しています。
特に、入社前から入社後までの包括的なサポートに加え、在宅雇用支援プラットフォーム「エンカク」を通じ、場所や環境に制約されず、一人ひとりが戦力として活躍できる環境があります。またベンチャー企業からナショナルクライアントに至るまで幅広く対応できるリソースとノウハウを有している点も、当社の強みです。
その強みを生かし、今後は更に障害者雇用における上流コンサルティングへも注力をする予定です。特例子会社の設立支援や、評価制度の設計、部門間を横断しての雇用環境構築等も含めてオールインクルーシブで、支援できる体制を更に強化してまいります。
私たちは、単にテクノロジーを導入するのではなく、人と人とをつなぎ、心の通った支援を届けることを大切にしています。まだ挑戦の余地は残されていますが、広範囲を高品質にカバーしつつ、先端技術を活用することで、よりシンプルに、そしてより温かく社会課題の解決を推進したいと思います。
導入事例↓
【障害者雇用事例】パナソニック オペレーショナルエクセレンス株式会社様 | 株式会社D&I(ディーアンドアイ) | 【東証上場】 障害者雇用・教育のインフラカンパニー
後記:GRIT人材は挑戦を支える経営戦略
―― Maenomery視点での再定義と読者へのメッセージ――
今回の取材を通じて、GRIT人材は企業の持続的成長を支える経営戦略そのものであることを、あらためて強く感じました。特にD&I様の事例は、「市場なき世界」に挑むときに、どのような人材が必要で、どのように組織文化を醸成するかという根本的な問いに対して、明確な示唆を与えてくれます。
市場創造とは、不確実性の極めて高い領域に踏み出すことを意味します。そこには成功の型や前例はなく、常に手探りで進まざるを得ません。困難や失敗はむしろ日常であり、その度に立ち上がり、何度でも復活することが求められます。だからこそ、市場創造の現場には「学び続ける柔軟性」を備えた人材が不可欠です。すなわち、素直にフィードバックを受け取り、自らの成長に転換できる“教えられ上手”であること。そして、挑戦を「自分ごと」としてとらえ、当事者意識を持って最後まで「やり抜く=GRIT」こと。これらの資質が、未知の市場を切り拓くための最大の推進力になります。
GRIT人材はまさに、その資質を体現しています。不確実な環境においても挑戦をやめず、粘り強くやり抜く力で組織を前進させていく。その姿勢は周囲の意欲を喚起し、組織全体に挑戦の文化を浸透させます。そして、挑戦と失敗を繰り返す中で何度でも立ち上がるその姿こそが、変化の激しい時代に揺るがぬ組織の強さを形づくるのです。
読者の皆様におかれましても、自社における「GRIT人材」の可能性を改めて考えていただきたいと願います。それは特別な業界や一部の先進企業に限られたものではなく、あらゆる組織が未来を切り拓く上で必要とされる普遍的な力であると、私たちは考えています。
インタビュイー
i-Linkホールディングス株式会社
代表取締役 岸本康彦(KishimotoYasuhiko)
香川県三木町出身。
16歳の頃から「独立」という強い志を抱き、同時に「人はなぜ働くのか」という根源的な問いを追求し始める。独立を志して以降、現在の事業を軌道に乗せるまでに3社の廃業を経験するという壮絶な逆境を味わう。この「再起」のプロセスこそが、現在の「自己実現こそが働く真の目的である」という信念の原点となった。2011年に株式会社i-Linkを設立、2022年には持株会社体制(ホールディングス)へ移行。
“地方企業×採用開始が3月”という圧倒的劣勢から、3名採用の逆転劇
i-Linkホールディングス株式会社は「100年後も自己実現を目指せるインフラを地方からつくる」という壮大なパーパスを掲げています。2030年までに15事業体制を築くことを目標とし、新卒社員とともに新規事業の立ち上げを加速させています。 また、立候補者は幹部へと抜擢する大胆な育成戦略を推進中です。
しかし、その新卒採用の開始時には、極めて高いハードルが存在していました。一般的な採用手法では獲得が困難な「自走型リーダー候補」を、いかにして短期間で3名獲得できたのでしょうか。スキル偏重の市場トレンドとは一線を画す、心理的特性(GRIT)を最優先した意思決定プロセスについて、具体的に解説します。

1.経営課題
求めていたのは「社長」になれる器。だから私は、即戦力採用を辞めて「新卒」に賭けた
—目標達成に向けて、当時の組織や採用活動において直面していた課題は何でしたか?
「2030年までに15事業創出」という大きな目標達成に向けた一番の課題は、新規事業を牽引できるリーダー層が不足していたことでした。既存業務をこなせる人材はいましたが、正解がない状況でも自ら考え事業を形にできる「実行者」を求めていたのです。
さらに当時はスキル・条件を基に中途採用活動を行っておりましたが、当社が求めている「困難から逃げずに挑戦し続ける姿勢」を持つ人材と出会えない状況が続いておりました。
そこで単なる人手不足の解消ではなく、将来の社長・部長を任せられる自走できる人材をどう確保するかを考えました。そして、この問いに対する答えがポテンシャルとやり抜く力(GRIT)を最重視した新卒採用戦略への転換でした。
—新卒採用を開始したとき、市場環境においてどのような課題がありましたか?
市場環境における地理的な制約と活動開始時期の遅れという、二つの課題に直面していました。
- 地方拠点による地理的制約:香川県という立地から、都市部の学生との接点が限定的であった。
- 採用市場における後発性(タイミングの不利):活動開始が3月であったため、大手企業の選考が終盤に差し掛かる状況にあり、私たちが求める「自走できる人材」の多くが、すでに就職活動を終了している時期であった。
このような不利な条件下で、いかにして高い実行力を持った人材を確保するかが、当時の最大の懸念事項でした。

2.導入背景
科学的根拠のある「粘り強さ」。Maenomeryの提唱するGRITが、私の経営哲学と完全にリンクした瞬間
—複数のエージェントを利用していたそうですが、なぜMaenomeryのGRIT人材に着目されたのですか?
当社が求める「困難を乗り越えるための精神的粘り強さ」とMaenomeryが掲げるGRIT(やり抜く力)人材がマッチすると感じたからです。
既存エージェントの紹介は、スポーツ経験者=元気がある・体力があるといった表面的な属性だけで学生をご紹介いただくことが多くありました。しかし、3度の廃業という修羅場を経験してきた私の視点では、表面的な明るさと土壇場で逃げない「やり抜く力(GRIT)」は全くの別物であると考えています。なので、既存エージェントからの紹介数はあっても、ミスマッチが続くという状況に行き詰まりを感じていました。
そこで、Maenomeryが掲げる科学的に証明されたGRIT(やり抜く力)という心理特性に着目しました。
GRITとは?=(https://www.maenomery.jp/article/5)
—そこで実際に導入に至ったわけですね。
はい。導入前から感じておりましたが、担当者の方々の誠実さと、当社の目標にコミットする高い当事者意識には感銘を受けました。当初は「本当に質の高い母集団が形成できるのか」という不安がありましたが、Maenomery社は単なるサービス提供を超え、一丸となって支援体制を構築してくれました。
実際に運用を開始すると、先行して取引していた他社を上回るスピード感で応募を集め、当社の採用活動を力強く牽引してくれました。この実行の確実性と、深く寄り添う伴走型のサポートによって導入して正解だったと確信できました。

3.成果
3名の内定承諾。共通点は「執念」と「素直さ」。私たちが“目的達成”のために欲しかった資質
—導入後、どのような成果が生まれましたか?
具体的な成果としては、3名のGRIT人材の入社承諾を獲得したことです。開始時期や地理的な不利を払拭し期待値を上回るスピードで確かな採用成果を実現できています。
採用した人材に共通したのは以下の2つです。
- 目的達成への執念:明確な原動力を持ち、達成するためのプロセスとして仕事をすることが言語化できている。
- フィードバックへの対応力:過去の経験に固執せず、面接での助言を即座に自らの行動へ反映させる「素直さ」を備えている点。
彼らのような目的のために行動し続けられる人材の存在は、既存組織に健全な競争意識をもたらすと信じています。「新卒には負けられない」という空気が醸成され、組織全体の行動基準と熱量が引き上げられると感じています。
4.成功のプロセス
面接官には見せない「学生の迷い」を共有。Maenomeryの「客観的な後押し」が学生の背中を押す。
—知名度のハンデを乗り越え、なぜ優秀な人材をクロージングできたのでしょうか?
当社の相互理解重視の選考スタイルと、Maenomeryの担当者による伴走の連携があったからだと考えます。
まず、最終選考では香川本社へ学生を招き、私との面接や現場社員との対話に計120分を費やします。ここでは当社の良い面だけでなく、泥臭い苦労や組織の課題もすべてさらけ出し、「この環境で自身の人生を切り拓けるか」を学生に問うスタイルを貫きました。しかし、この120分の対話を「単なる熱い面接」で終わらせず、確実な承諾に繋げられたのは、Maenomeryの担当者の存在があったからです。
- 本音のリアルタイム共有:選考の合間、学生が口にできない不安や迷いを担当者が丁寧にヒアリングし、即座に私へ共有してくれました。
- 追加面談の設定:学生に迷いがある際は、担当者の助言をもとに追加の面談を設定。企業側からのメッセージと、Maenomery側からの客観的な後押しが重なることで、学生の決断を促すことができました。
「企業、Maenomery、学生」という三者が情報の非対称性を解消し、強固な信頼関係を築けた事こそが、大手・都心企業に競り勝つための決定力に繋がりました。

5.GRIT人材活用の注意点
あえて「内定」とは言わない。学生に「自らの意志」で選ばせることで、入社後の覚悟を劇的に高める
—GRIT人材をマネジメントし、定着させるために意識すべき点は何ですか?
結論から申し上げれば、GRIT人材のポテンシャルを最大化させるマネジメントの核心は、「人生の目的との接続」と「主体性の尊重」の2点に集約されます。
その理由は、やり抜く力を持つ人材は、給与や待遇といった外発的な動機よりも、その仕事が自分の人生にいかなる価値をもたらすかという内発的な動機で動くからです。彼らは自らの人生を切り拓くための挑戦には、驚異的な熱量を発揮します。
具体的には、以下の2つのアプローチを徹底しています。
- 意味的価値の継続提示:単なる業務指示ではなく、この仕事があなたの人生の目的にどう繋がるかというストーリーを語り続け、仕事に深い意味を持たせます。
- 最終合格による主体的選択:採用の最終段階では、あえて「最終合格」という言葉を使いました。企業が学生を選ぶのではなく、学生に自らの意志で当社を選ばせることで、入社後の覚悟を劇的に高めています。
このように、強制ではなく価値観の共鳴による結びつきを築くことこそが、困難な状況下でも折れない、長期的な定着と活躍を実現する鍵となります。

6.今後の展望
投資ではなく「生存条件」。AI時代にこそ価値が増す組織創り
—今後の組織戦略と採用の展望についてお聞かせください。
今回の成功を弾みに、27卒では採用目標を8名に増員します。ターゲットは変わらず、将来の事業責任者を担える自己実現者です。
地方企業にとって、新卒採用はもはや将来への投資ではなく、企業の生存条件そのものです。AIによる効率化が進む時代だからこそ、自らの足で動き、現場で泥臭くやり抜けるGRIT人材の価値は相対的に高まり続けるでしょう。Maenomeryを通じて、変化を恐れず自ら道を切り拓ける若手を継続的に登用し、彼らに権限を委譲していきます。その連鎖こそが、次の100年を支える新しい事業インフラを創出すると信じています。

プロフィール
丸山 晃司 様
株式会社丸山製麵 取締役
大学卒業後、(株)ECナビ(現CARTA HOLDINGS)に新卒入社し、新規事業開発や営業統括を歴任。2018年に家業である株式会社丸山製麺へ入社し、取締役就任。
バックボーンであるIT・マーケティングの知識・経験を活かし、「食」×「IT」 の領域にてビジネスを展開。2021年9月冷凍食に関わるあらゆる事業者が集う「フローズンエコノミーラボ」を発足、その後2022年5月に一般社団法人フローズンエコノミー協会を設立、理事へも就任。
次世代経営者が直面する「実行者の不在」という課題
創業50年を超える老舗、株式会社丸山製麺。伝統的な製麺技術を守りながら、近年は新たな販路や商品を追求し、地域に根ざした「食のスタートアップ」としての進化を遂げています。
しかしその裏側では、コロナ禍での組織改革、既存事業の立て直し、新規事業の立ち上げなど、多くの困難を乗り越えた経営戦略と採用戦略が明確にありました。
技術偏重の組織における、ビジネスサイド視点の欠落と実行力不足をどう乗り越えたのか?
今回は、三代目の丸山取締役に、この課題を打破するために導入した施策の背景、そして復活を遂げた「攻めの体制」について詳しく伺います。
1. 丸山製麺の課題
職人はいるが、“売る人”がいない。売上8割減で露呈した、老舗企業の致命的な弱点
―コロナ禍で売上が8割減という壊滅的な状況下で、痛感された最大の経営課題は何でしたか?
丸山製麺所は、全従業員50名のうち8名を製麺技能士が占める熟練の職人集団であり、その麺の品質と製造技術は業界でも群を抜いています。経営を担う社長(父)もまた生粋の職人気質であり、製麺に対する強いこだわりは会社のDNAとなっています。
しかしながら、この高い技術力の裏側で、ビジネス経験を有する人材は皆無に等しいという構造的な問題も抱えていました。組織風土が技術力への過度な偏重に傾いていたため、既存・新規事業を問わず、持続的な成長を牽引できる組織体制ではないことが最大の経営課題でした。
その最中、新型コロナウイルスの感染拡大が発生しました。主要な取引先である飲食店が営業自粛に追い込まれた結果、売上は一時的に8割減という壊滅的な打撃を受けます。緊急事態宣言の解除後も業績の回復は遅れ、従業員の出社率を半減させるなど、厳しい経営判断を迫られました。
この危機的な状況を踏まえ、社長(父)と徹底的に議論した結果、私が旗振り役となり、既存事業の再構築と新規事業の創出を本格的に推進する運びとなりました。

2. きっかけ
即戦力の年収は払えない。財務的な限界で見出した、「未経験×ポテンシャル」という第3の選択肢
―当時の厳しい経営状況の中で、採用に関して具体的にどのような課題に直面されましたか?
1. 組織内の「実行力」不足
一つ目は、「実行を担えるメンバーの不在」です。 前述の通り、当社の社員の大半は製麺の職人であり、営業や企画といった事業サイドでの経験が決定的に不足していました。また、社員の年齢層が比較的高いため、彼らのキャリアと適性を考慮すると、業務内容を根本的に変更して配置転換を行うことは非現実的でした。
2. 年収の壁と採用のジレンマ
二つ目は、「求める人材と年収レンジのミスマッチ」です。 自社内での人材選抜が難しい以上、外部からの採用が唯一の手段となります。しかし、新規事業の立ち上げ経験者や、同業界で確かな実績を持つ即戦力の人材となると、当然ながら年収レンジは一気に高騰します。当時の業績が低迷している状況下では、そうしたハイレイヤーな人材を採用することは財務的に現実的ではないと判断せざるを得ませんでした。
以上の構造的な課題から、当社の活路は「高い実行力を持ちながらも、年収レンジが比較的安価な若手人材」を採用することにあると結論付けました。
その最適なソリューションを探す中で出会ったのが、Maenomery社が提供する「GRTI人材の紹介サービス」でした。

3. 最大の決め手
履歴書には書けない「本気でやり抜いた経験」。Maenomery独自のプールが、採用難の老舗企業に光を当てた
―数ある採用サービスの中で、GRIT人材に着目されたのはなぜですか?
私たちがMaenomery社に魅力を感じた最大の理由は、スポーツ、芸術活動、あるいは長期インターンやアルバイトなど、何かしらを「本気でやり抜いた経験」を持つ、いわゆるGRIT人材を紹介してくれるという点にあります。
GRITとは?→(https://www.maenomery.jp/article/5)
なぜなら、私たちが取り組む既存事業の立て直しと新規事業の立ち上げは、正解が見えない不確実性の高いミッションです。したがって、困難な状況でも業務を遂行し続ける「実行強度」と、失敗しても何度でも起き上がれる「復元力」を持ち合わせた人材が不可欠でした。
加えて、大学との独自の集客コネクションを保有しており、若手人材のプールが豊富であることも魅力的でした。これにより、当社のターゲットとする人材に多く出会える可能性が高かったのです。
4. 伴走型の丁寧なすり合わせ
社内の「パワーバランス」まで全て共有。単なる求人要件を超え、組織の裏側まで理解してくれた
―導入時のプロセスや、担当者とのすり合わせで印象的だった点があれば教えてください。
サービス導入にあたり、まずは専任の法人担当者の方と、じっくりと要件のすり合わせを行いました。
すり合わせは、単なる業務内容や採用条件の話で終わらず、会社の創業時の想いやカルチャー、そして社内の人間関係(パワーバランス)といった、普段はなかなか話さない極めて深い部分にまで及びました。この丁寧なヒアリングを通じて、担当者の方が私たちに寄り添い、「伴走」してくれているという心強い印象を強く受けました。

ー要件をすり合わせた後はどのように進みましたか?-
その後、当社の状況にマッチした候補者を数名ご紹介いただき、面接を実施しました。中でも、スポーツ経験を持つ候補者が当社の求める「実行強度」と「復元力」を体現しており、迷うことなく即入社が決定いたしました。
5. 入社後の具体的な活躍と成果
取引社数が倍増、代理店はゼロから60社へ。停滞していた事業を動かした、若手GRIT人材の「泥臭い実行力」
―実際に採用されたGRIT人材は、入社後どのように活躍されていますか?具体的な成果があれば教えてください。
現在2名が入社してくれたのですが、具体的な成果としては下記が挙げれます。
- 取引者数倍増:新規事業の開始から、取引者数は300〜400社に増加し、会社全体の取引者数が導入前の倍以上へ。
- 代理店数の増加:ほぼゼロだった代理店数が、彼らの営業活動により50〜60社に増加。

彼ら(GRIT人材)の最大の特徴は、根底に「向上心」があることです。「与えられた役割のベースを徹底的に頑張りたい」というマインドセットを持っており、その結果、対応スピードの向上や顧客対応の質の向上を常に考えながら取り組んでおります。また、メンタル面でもブレが少なく、安定的に、そして実直に業務を遂行してくれる点も魅力です。
私たちのような中小企業は、基本的に不利な状況から競争に勝ちに行く必要があります。そのため、迅速な対応やサンプルの即日提供といった彼らの行動特性そのものが、他社に対する決定的な競争優位性となりました。
実際に、彼らの地道で泥臭い営業活動のおかげで、新規事業や代理店開拓を自律的に推進してくれました。その結果、停滞していた事業は大きく動き出すことになったのです。
小川さん(写真右)
2023年11月に入社。
幼少期からサッカーを続け、大学卒業後はサッカースクールの指導者としてアシスタントを経てメインコーチとなる。その後、ビジネスマンとしての成長を求め株式会社丸山製麺へ入社。
須藤さん(写真左)
2024年8月に入社。
幼少期はサッカーに没頭し、高校から陸上に転向し、大学へも陸上競技を目的に入学。数々の入賞を経験。経営学部にて勉学へも励み、文武両道を体現。

6. 導入における注意点
教育システムがない中小企業こそ注意。GRIT人材のポテンシャルを開花させる、伴走型オンボーディングの極意
―GRIT人材のポテンシャルを最大限に引き出すために、特に注意すべき点や、丸山製麺様で工夫された点はありますか?
GRIT人材のポテンシャルを最大限に引き出すためには、「育成に時間を投じること」が重要です。
中小企業には、体系的な育成・評価システムが存在しないことが多く、せっかく人材を採用しても放置状態(オンボーディングの欠如)に陥りがちです。また、周囲の上司にビジネスサイドの経験がない場合、発生した不明点や課題が明確にならず、コミュニケーション上のエラーや認識齟齬が生じてしまうリスクがあります。
さらに、採用したGRIT人材のビジネス経験はまだ浅いため、名刺交換や提案書の構成といった基本的な「正しい業務遂行方法」を体系的にインストールする必要があります。
彼らの持つ熱意と実行力を成果に繋げるためには、具体的な道筋を示し(方向付け)、初期段階においては伴走することが不可欠です。彼らの粘り強い努力を正当に評価し、その方向性を定めることが、育成の鍵となります。自身が直接指導にあたるか、あるいは副業人材などの外部リソースも活用し、実効性のある教育体制はある程度必要だと考えています。
7. 今後の展望
次はグローバル市場。GRIT人材と共に、守りの経営から「攻めの経営」へと転換する丸山製麺の挑戦
―攻めの体制を確立された今、今後の事業展開や、GRIT人材に期待する役割についてお聞かせください。
これまでの当社は、一都三県を中心に冷蔵麺を中心に商売をしてきましたが、現在は缶詰や冷凍といった最新技術も取り入れ、全国に市場を広げています。
今後は更にグローバル市場を視野に入れ、当社のミッション「ひとりでも多くの人へ美味しいラーメンを届ける」という想いを実現したいと考えています。
実際のところ、海外でのラーメンの人気と、製麺所の供給数を考えると、需要と供給のバランスから見ても、大きな成長機会が眠っています。
今すぐ「単独で海外進出」とまではいきませんが、まずは海外に出店する日系企業へのサポートや、ジョイントベンチャー(JV)のような形で、私たちも一緒にお店を出していくことも選択肢として考えています。
そのためにも、私たちが培ってきた製麺技術を活かして、既存事業の売上を更に伸ばしたいと思います。また同時に、会社全体として更に多くの新しい事業を生み出せるよう、経営体質の変革へも取り組みます。
プロフィール
佐々木 広行 氏(ささき ひろゆき)
株式会社プロラボホールディングス 代表取締役会長 兼CEO
早稲田大学卒業後、東証一部上場企業を経て1998年に広告・マーケティング業界で起業。2002年に株式会社プロラボホールディングスを設立し、全国約29,000店以上の美容健康施設・世界21ヵ国に展開するインナービューティブランド「エステプロ・ラボ」を確立。現在は長寿遺伝子・ミトコンドリア活性・睡眠研究にも注力。
1. 課題
トップシェアゆえのジレンマ。「待ちの営業」が染みつき、描いた戦略を実行に移せない組織の限界だった
――エステプロ・ラボという圧倒的なブランドポジションを築いたにも関わらず、なぜGRIT人材の採用を検討されたのでしょうか?――
佐々木氏:結論から申し上げますと、新規マーケットへの参入ですね。当時のプロラボホールディングスは、インナービューティを主軸としたプロダクトで国内トップシェアを誇る一方、売上の9割は既存顧客からでした。また残りの“1割程度も”美容系の展示会にいらっしゃるお客様“でした。そのため、ある程度その市場では存在感を発揮することはできていたのですが、更なる事業成長を考えたときに“展示会に来ない層”や“美容室”または“整骨院”などへの市場拡大が必要だと感じていました。
――圧倒的なプロダクト力をもつが故のジレンマだったように感じています――
佐々木氏:おっしゃる通りです。しかしながら現状の組織体質だと、新市場の開拓には向いていない状態でした。というのも、展示会にいらっしゃるお客様への声掛けや既存顧客からの紹介を待つ「フォローアップ」が営業業務のメインとなっており、新規で開拓するという力強さがどうしても乏しい状態でした。
新市場のニーズは捉えて、戦略も練られている。しかしながらエクゼキューション(実行)ができない。
この課題を解決したいと思ったのが背景になります。

2. GRIT人材の印象
未経験だからこそ、まず動く。知識不足を行動量でカバーし、フィードバックで高速学習する“アウトプット主導型”の衝撃
―GRIT人材の最初の印象を教えてください―
佐々木氏:サービス契約締結後、2名がジョインしてくれました。まず何より驚かされたのは、彼らの卓越した実行力です。業界未経験であったため、当初は一定の立ち上がりの遅れを覚悟していたのですが、実際には全く反対の結果となりました。
主なミッションは新規開拓であり、業務内容自体も比較的シンプルでした。リストに基づくテレアポからアポイント獲得、そして商談へと進む。もちろん、一定の知識インプットは事前に行っていたものの、それ以上に「まず行動する」という“アウトプット主導型”のアプローチで、成果を積み重ねていく、その姿勢がとても印象的でした。そのお陰もあり、アウトプットを起点にフィードバックを得ながら学習を深めていくという好循環によって、非常にスピーディーな立ち上がりを実現していたことが、今でも鮮明に記憶に残っています。

――立ち上がりが速いと事業を推進しやすいですよね。とは言え、上手くいかない瞬間も多かったのではないでしょうか?――
佐々木氏:もちろん、うまくいかないことも多々ありました。新市場であることからサービスを理解してもらうまでに時間がかかりました。そのため何度も同じクライアントに直接訪問するなど、二度手間になる事もしばしば起こりました。しかし、それを感じさせないほど、彼らは目標達成に向けて粘り強く取り組む姿勢を貫いていました。
特に本業界においては、テレアポからのアポイント獲得の難易度が非常に高いものとなります。というのも、当社が主に活動を行う時間帯は、クライアント側が施術業務の真っ最中であることが多く、電話自体がつながりにくいという構造的な課題が存在します。
通常であれば「非効率的だ」と判断して行動を止めてしまいがちな状況にもかかわらず、彼らは行動を止めることなく、ひたむきに実行を継続しました。少しでも繋がる可能性を高めるために、架電リストの見直しや電話をかける時間帯の最適化といった改善を自ら繰り返し行い、実行し続ける。その「“やり抜く力”=GRIT」の強さが際立っていたと感じています。
一般的には敬遠されがちな「コスパが悪い」とされる取り組みにも一切逃げず、真正面から向き合い続ける姿勢。その難易度の高い行動にもかかわらず、「なんか成果を出してくれそう」という雰囲気を自然と醸し出していた点に、GRIT人材ならではの価値を感じました。
実際、多くの人が避ける領域には、大きなチャンスが埋もれているように思えます。そしてGRIT人材は、自らの過去の経験を通じて、「コスパが悪いことの先には成果がある」という成功体験を積み重ねているのではと感じます。そうした“経験知”があるからこそ、困難な局面にも臆することなく挑み続けられるのではないでしょうか。

3. 成果
売上140%成長の正体。個人の熱量が組織へ伝播し、全員で「未開拓領域」へ挑む空気が生まれた
―GRIT人材が既存メンバーと融合したことによっての変化はありますか?―
佐々木氏:組織全体のGRITが一気に高まったと実感しました。とくに彼らが既存社員と一緒に業務を共にするようになったタイミングで組織全体の空気が変化したように感じます。入社当初は部署を分けて別々に業務を担っていましたが、新規開拓の立ち上がりが予想以上に順調だったため、既存顧客へのサービス深化も含めて、既存社員と一緒に業務を取り組む方向へと舵をきりました。
加えて、彼らには上記で述べたような、契約単価の割に労力が大きく、LTV(顧客生涯価値)も高くない、いわゆる「コストパフォーマンスが悪い」とされる顧客層の担当を任せるという、難易度の高いチャレンジを託しました。
しかし結果的に、その「非効率に見える顧客群」は、実はライトユーザーからロイヤルユーザーへと転換する可能性を秘めた未開拓の優良顧客層であることが明らかになったのです。私たち自身が「手間がかかる=成果につながらない」という先入観に囚われ、無意識に敬遠していただけだったという事実に、ある種の衝撃を受けました。
この成功体験を目の当たりにしたことで、既存の社員もこれまで手をつけなかった業務領域に対し、自ら積極的に関わろうとする姿勢へと変化しました。
GRIT人材が体現した「やり抜けば結果はついてくる」という成果に対する実感値が、組織全体に伝播し、いわば“結果への期待値コントロール”がなされたことが大きな転機となりました。
そうした意味でも、「一見非効率に思える挑戦が、組織にとって価値へと転換されうる」という強烈な成功体験をチーム全体に共有できたことが、組織GRITを飛躍的に加速させる原動力となったと強く感じています。
そして、実際の具体的成果としても”売上が140%成長”を実現し、定量的にも定性的にも会社として成長できたことが一番の驚きです。
4.GRIT人材採用のポイント
挑戦と支援の両立。GRIT人材を「使い捨て」にせず、内発的動機で走らせるためのマネジメントの極意
――GRIT人材が活躍できた背景には、活躍できる環境や風土があったように感じます。とくに既存社員の方々が“受け入れる姿勢”は、まさにプロラボさんが今まで構築してきた“利他の精神”からくる人格の高さを感じました。そのうえで既存メンバーとの融合にはどのようなことを意識されましたか?――
佐々木氏:重視したポイントは、いくつかありますが、主には以下の3点です。
- 会社の中長期的な成長戦略および理念の実現において、GRIT人材の存在が不可欠であることを明示する。
- 既存メンバーに対し、GRIT人材の参画によってどのような相乗効果や利益が生まれるかを丁寧に説明する。
- GRIT人材が取り組む業務難易度をあらかじめ共有し、実力含めて認められるように設計する。
もちろん、彼ら自身が持つ資質の高さも、大きな要因となりました。社会性に優れ、初対面でも自然に馴染むスピードが非常に速い。また、事業部全体が伸び悩んでおり、雰囲気が沈滞していた時期にも、自ら率先して場を盛り上げるだけでなく、行動の最前線に立ち、組織に活気をもたらしてくれました。
加えて、彼らは常に先輩社員や上司に対してリスペクトの念を持ち、礼節を忘れませんでした。一方で、既存社員側も、単なる“新入り”としてではなく、対等な仲間として迎え入れ、相互に感謝を重ねながら関係を築いてくれた点も、融合成功の大きな要因だったと感じています。これは、もともと当社が大切にしてきた「理念に基づく経営」の土壌があってこそ可能になったものだと捉えています。
その理念を実現するために“GRIT人材”が必要であるということを頻度高く伝え、具体的にどのような業務を実行し、会社へ貢献しているのか、またどのような相乗効果が生まれるのか。という社内ブランディングを徹底しました。

―空中戦ではなく佐々木さん自身が連帯感を形成していくこと、非常に参考になります。ちなみにGRIT人材に対してはどのように施策を通して、ロイヤリティを高めましたか?―
佐々木氏:当社は、理念を起点とした事業運営を行っており、仕組みや制度の随所にビジョンやミッションと接触するタッチポイントを設けています。「私たちは何のためにこの事業を行っているのか」「サービスやプロダクトは誰のために存在しているのか」といった問いを、定期的に発信する場を設けています。
とはいえ、最も重要なのは、日々の業務や何気ない会話の中で、理念やビジョンを“肌感覚で伝える”ことだと考えています。当時の営業部長が意識的に彼らとの接点を増やし、短時間でも頻度高くビジョンや価値観を直接共有することに力を入れていました。こうした継続的な理念との接触を通じて、内発的な動機づけが促進され、やりがいの源泉となる土壌が育まれたように思います。
そのうえで、ただモチベーションを高めるだけではなく、「実際に成果を出せるように伴走する」ことにも重点を置きました。内発的動機づけと結果創出をワンセットで支援することで、彼らの能力が最大限に発揮されたのだと考えています。
その結果、現在では彼らは各事業部の責任者を担うまでに成長し、組織における中核人材として確固たる地位を築いています。会社の風土も、従来の“手厚いフォローアップ型”から、「挑戦と支援の両立」を志向するバランス型へと進化しました。まさに彼らは、現在の当社にとって欠かすことのできない存在へと成長してくれたのです。

5. 今後の展望
次は「睡眠マーケット」でNo.1を獲る。腸活・温活に続く第3の矢で、健康寿命の延伸に挑む
―プロラボホールディング社の今後の展望をお聞かせください―
佐々木氏:我々の目指す理想は、“健康寿命の延伸に貢献するNo1企業”になることです。そして健康寿命の延伸に必要なのは食事、体温、睡眠です。これをプロラボ風に変換すると[腸活、温活、眠活]となります。腸活、温活においてはインナービューティ事業を含め一定の市場シェアの獲得ができました。ここから更に成長角度を上げるため、睡眠マーケットでもNo,1を目指します。この睡眠マーケットのポテンシャルは計り知れなく、当社としても注力している領域になります。日本人の70%が睡眠課題を抱えており、いびきなど何かしらの要因で良質な睡眠を取れていない事実があります。この課題を我々の睡眠美容コンテンツで解決していきたいと考えております。
現在ではその第一弾として睡眠のケアも叶う水分子コントロールデバイス「WOTT」を開発し、トップアスリートや経営者に使用頂いております。多くの利用ユーザーからも睡眠の質改善や、日中のパフォーマンス向上が段違いになったなど、高評価をいただきプロダクトの有効性を感じております。またこの技術は、原理特許を取得しているため、他が参入できない状態です。(https://prolabo-solution.com/wott/)
睡眠市場、インナービューティ市場も含めグローバル展開をさらに加速させ、健康寿命の延伸に貢献するNo,1企業として存在感を発揮していきたいと思います。

6. まとめ
―利他の精神と相互感謝が、不確実性の高い選択を正解にしてきた―
プロラボホールディングス社の事例は、「GRIT人材」と「既存社員」を融合することで、組織全体の行動様式を上書きできると示唆させてくれました。成熟産業や既存マーケットにおいては、新規事業や海外展開など“非効率で不確実”な領域と向き合う必要があり、その大きな不確実性に組織全体として挑む必要があります。しかし、それらは個人の力で解決できるものではなく、「組織全体としてのやり抜く力=組織的GRIT」がなければ、成しえるものではありません。どの企業も一定数の情報を持ち合わせて、合理的に意思決定を行うものと仮定をすれば、戦略や戦術は似たものにもなるはずです。ただ、その戦略・戦術を“絵に描いた餅”で終わらせず、顧客の心に響く価値に変換するためには、それを実現する実行力が必要不可欠となります。プロラボホールディンス社は、新しい社員を含めた会社のあらゆるリソースを駆使して、全員でやり抜くという「組織としての実行力」が圧倒的でした。まさに、理念を空想ではなく、社員ひとりひとりが利他の精神のもと、相互感謝を忘れず、目の前のユーザーに価値を届けている企業だと感じました。その姿勢こそが、組織的GRITを体現し、変革を現実の成果へと結び付ける原動力となっているのではないでしょうか。
1.GRIT採用の背景と組織課題
“今まで以上に「挑戦を恐れず、変化を恐れず、衆知を集めていく」必要がありました。”
ー お寿司デリバリー市場において圧倒的な存在感を発揮する貴社が、なぜGRIT人材の採用を推進することになったのでしょうか?
須藤氏:コロナ禍でのデリバリー中食市場の形成が大きく影響しております。それまでは外食や内食と比してメジャーになりきれていませんでしたが、コロナ禍では選択肢の一つとして多くの皆様に認知されました。それによってデリバリー業全体の需要が顕在化し、私たちも大きな顧客層の拡大を果たしました。
そしてそれは他の多くの外食業界の中食市場への参入の呼び水ともなり、消費者にとってはデリバリーの中でも更に多くの選択肢を持つことができるようになりました。しかしそれと同時に、それぞれの食のデリバリーを運営する企業にとっては、お客様に選ばれるために更なる高付加価値の提供が求められることを意味しました。
私たちの会社においても新規事業領域へのチャレンジのみならず、昨今の物価高などの影響もあるなか、既存事業においても、常に新たなチャレンジを繰り返し変化していくことが命題となっています。会社全体で今まで以上に「挑戦を恐れず、変化を恐れず、衆知を集めていく」ことが命題となっていったのです。そのためには仲間とともに困難を乗り越える前向きさと感謝の気持ちを持ち、やり抜く力を持ったGRIT人財の存在が不可欠だと判断したのです。

ー「衆知を集める」ことを重要視されていますが、なぜそのような考えに至ったのでしょうか?
須藤氏:私たちは「衆知を集める」ということを理念実現のための方法としてとても大切にしています。それは“みんなの知恵を集め、みんなの力を集める”という意味であり、あらゆる仕事において最も重要なビジネススキルであるとも位置付けていています。それは、たとえどれほど卓越した知識やスキルを備えていたとしても、一人で表現できる世界には限りがあり、その領域はきわめて狭小であるという前提からきています。そして、ひとつの店舗に集まるさまざまな背景や価値観を持った人たちと誠実に向き合い、互いを理解しようとすることで、そこに共通の価値観が生まれ、チームとしての力が最大化されると信じているのです。
私たちの会社では、新卒の社員の全員にまず店長を目指して仕事をしてもらっていますが、この目的は、単にスキルや知識を身につけて飲食店の店長をやるという概念ではなく、お店のマネジメントを通じて「周知を集める」力を身につけ、誠実に人と向き合う姿勢を学ぶことにあるのです。
採用活動においては、私たちが大切にしているそうした価値観を正しく伝えるため、一人ひとりとの丁寧な対話を重視してきましたが、限られた資源において決して効率のいい方法とは言えませんでした。そしてその意味では採用に苦慮していた実態が当時ありました。
御社にご紹介いただくような、チームスポーツや部活動を通じて努力されてきた方たちは、すでにこうした価値観を実感として持っていることが多いと感じています。プレッシャーや困難を避けるものではなく、むしろ特権ととらえられる前向きさとそして感謝の心を持っています。私たちはそのような方々を「GRIT人財」として捉え、仕事を通じてともに成長し、働く仲間として積極的に採用したいと考えています。

2. サービス導入とGRIT人材の印象
“成功体験も、苦い経験もすべて糧にする。私たちが求めていた「成長マインド」を持つ学生たち”
実際にサービスを導入してみての率直な感想をお伺いさせて下さい。
田村氏:当社としては、まず何よりも「人材の質」にこだわり、前述のような人材の採用を最優先事項として考えていました。その想いに共感していただけたのか、マエノメリ社からは、単に人数を揃えることではなく、1人ひとりのマッチングの質を重視している姿勢が強く伝わってきました。
特に印象的だったのは、マエノメリ社が求人紹介をゴールとせず、「求職者の自己実現プロセスの設計」にまで踏み込んで、当社と一緒に伴走してくれる点です。採用イベントでの説明会や面接の後も、求職者が何を感じ、どのような評価をしたのかを、良い点・課題点の両面から、誠実にフィードバックしてくれました。
紹介された候補者についても、共通して見られた特徴は「前向きな姿勢」です。特に体育会系出身の学生が多かったこともあり、学生時代の成功体験も苦い経験も、自分の成長につなげる糧として捉える力を感じました。まさに“成長マインド”を備えた状態でご紹介いただいていたと実感しています。

3. GRIT採用の効果
“マネジメント未経験の新人が、ベテラン店長を変えた。「命を燃やした経験」が組織に火をつける”
実際に入社したGRIT人材の印象はどうですか?
清水氏:現在、新入社員たちは研修中でまだ慣れない業務も多く、緊張した様子も見受けられます。しかし初めての業務にも積極的に取り組む姿勢が、周囲に良い影響を与えていると感じます。私の同期がOJT店舗の店長として従事しているのですが、彼らから新入社員たちが周りに与える店舗への影響についてよく話を聞いています。
実際の業務内容は、調理や配達という店舗運営業務だけでなく、採用・教育などの人のマネジメントや食材の品質管理、売り上げの分析などの店舗管理業務も含まれます。
マネジメント経験のない新入社員が、3か月の研修を経て配属後にマネジメント業務を担います。店舗によってはアルバイトメンバーの現場経験が長いケースもあり、マネジメント業務の難易度は決して低くありません。
もちろん、会社としてマネジメント研修を手厚く行っています。しかし、座学で学ぶことと、現場で体験することとでは、情報の密度やリアルさに大きな差があります。そんな手探り状態の中にあっても、彼らはアルバイトの方々に対して敬意を持ち、感謝の気持ちを素直に伝えています。
そして「お客様に“幸せ”を届ける」という共通の目標に向けて、周りと協力し、ひとりではなくチームとして取り組もうとする姿勢を貫いています。その本気度の高さや前向きな姿勢に、周囲も自然と触発され、「チームとして頑張ろう」「やり抜こう!」という前向き雰囲気が店舗全体に広がっています。

人事部 マネージャー 田村 啓一郎 氏
―「チームとして頑張ろう、やり抜こう」まさに組織グリット力が高いチームの特徴だと感じます。そのような周りを灯せる人材の共通点はどのようなものがありますか?―
須藤氏:とくに私たちが重視しているのは、「命を燃やした経験があるか」という観点です。表現が抽象的ではありますが私が思うに、どのような分野であっても成果を出すためには、本気の努力が欠かせないと考えております。その過程では、時に辛いことや、いわゆる“コスパが悪い”と感じるような状況にも直面します。また、結果が出るかどうか分からない中で挑戦し続けるためには、相当な精神的タフさも求められます。
それらを乗り越えるために必要なのが、圧倒的な情熱です。そしてその情熱の“灼熱度”こそが、自分自身の命を燃やし、周囲にも伝播していく力になるのだと、私たちは感じています。
ただし、ここで忘れてはならないのは、情熱のベクトルは人それぞれ異なるということです。だからこそ、私たちが果たすべき役割は、その人なりの情熱を見つける手助けをし、そして一緒に“最大火力”を引き出す方法を考え、伴走していくこと。この一貫した姿勢をブラさないということを人事部として徹底しています。
4. 店舗ビジネスにおける組織GRITの出現方法
“「怒らない経営」が挑戦のセーフティーネットになる。物理的距離を超える、本部と現場の相互リスペクト”
店舗ビジネスにおいて、本部と現場(店舗)が、これほどまでに一体感があり組織GRITを発揮しているケースは珍しく感じます。組織運営において、人事側では、どのような工夫をされていますか?
須藤氏:工夫は多くあるのですが、根本のところは当社が重視する“怒らない経営”。ここにすべてが集約されています。肩書や立場に関係なく人を人として誠実に扱う、相互に感謝する。ただ重要なのは、まずは本部側からその感謝を積極的に伝えていくことだと思っています。だからこそ、我々は新人研修を人事部で行った後に、自信と信頼を持って教育担当者にOJTとして想いを託すことができます。ただ、これも全て現場の皆さんが全力で、新人メンバーの育成に協力してくれているからこそです。その姿勢や姿に、本部の我々は本当に敬意を払っております。普段の業務を実施しながら、新人育成にも支援的且つ、常に挑戦ができる“失敗しても良いという心理的セーフティーネット”を用意してくれている。まさに会社の理想を実現するために、組織全体で一体となっている感覚です。実際に新人メンバーの研修後の全体発表会では、各店舗の多くの仲間がオンラインで参加してくれて、応援コメントをくれたりもします。
―店舗ビジネスという物理的に離れる空間だからこその、手触り感を大切にされているのですね。具体的に実施している施策はどのようなものがありますか?―
清水氏:具体的な施策としてのひとつは、新入社員たちの研修中の様子をお届けしている“新卒通信”です。新入社員が3-4名ほどのユニットになり、自分たちの自己紹介や意気込みなどを動画や絵などで表現して会社全体に発信する取組となります。同期同士の双方向的な繋がりを意識すると同時に、空間的に離れている各店舗のメンバーにも新入社員の顔を知ってもらいたいという想いから取り組んでいます。

人事部 清水里穂 氏
5. 今後の展望
“変わり続けて、変わらない美味しいをデリバリーする”
お寿司のデリバリー市場ではトップに君臨されているかと思います。今後の更なる展望を教えてください。
須藤氏:今後はそばや天ぷら、鰻など、他の日本食もカバーする複合化戦略を本格的に展開していきます。また単に商品を広げるだけでなく、地域店舗の内外装を改装し、ライブ感のあるテイクアウト体験を提供することで、ブランドの世界観と顧客体験の質を高めていきたいと考えています。また、社内の開発体制を内製化し、DXを推進することで、業務効率の向上とサービス品質の両立を実現しています。これらの取り組みによって、従業員やフランチャイズパートナーとの共創もより深まり、持続的な成長の基盤が整ってきました。将来的には、アジアを中心とした海外市場にも展開を進め、“世界のご家庭の生活も、もっと美味しくもっと便利に”していきたいと考えております。
6. まとめ
”細部配慮と相互感謝が個人GRITを“組織GRITに昇華させる”
インタビューを通して印象的だったことは、本部や人事部の方々の現場に対する深いリスペクト精神でした。直営店であってもFC店舗であっても、同じ目標に向かう仲間として、全力で組織的支援をしようとする姿勢が、会話の端々から伝わってきました。その根底には“怒らない経営”という理念浸透が影響しているようにも感じます。店舗展開を事業戦略として選択する企業は、空間的・物理的にも距離のある関係となります。ライドオンエクスプレスホールディングス様は、だからこそ相手の立場に立ち、価値観を否定せず、チームワークと感謝の気持ちをもって共に目標に向かう。この“怒らない経営”という基盤があるからこそ“情熱が熾り、挑戦が起こり、事業が興る”。この理念ドリブンを全社で徹底する姿勢が重要なのだということを示唆してくれました。
そして、そのような環境があるからこそ、GRIT人材も能動的に挑戦ができる、そして失敗を学習の機会と捉え、再挑戦できる。ライドオンエクスプレスホールディング様は、この「能動的挑戦→失敗→意欲的学習→再挑戦」というサイクルを個人レベルではなく、組織レベルで実行しているように見受けられました。空中戦に終始せず、本部と現場の不断の細部配慮と相互感謝が“個人GRITを組織GRITへ昇華させた”好例であり、店舗展開を戦略としている企業の空間的・物理的距離の組織課題を越えていく参考になるのではないでしょうか。


後記:GRIT人材は挑戦を支える経営戦略